相場の本質を捉えたライントレードの基礎<水平線編>
FXトレーダーとして成長していく上で、必ずといっていいほど聞く言葉が「相場の本質」です。
しかし、トレード手法のみに固執していたり、自分なりの手法を確立していたりする人からすると、「学ぶ必要はない」と結論づける方も少なくないと思います。
しかし、「チャートが形成される原理・原則はなんですか?」という問いに答えることができる方はどれだけいるでしょうか?
FXだけでなく、物事を解決していく上で重要なのは、この“原理原則”を自分自身に落とし込んでおくことです。
今回は、“相場の本質(原理原則)”を知っていただいた上で、これに基づくトレードとして知られるライントレードの基礎について説明していきたいと思います。
相場の本質とは?
結論から言えば相場の本質、つまりチャートを形成する原理は“人間の心理=多数決”です。
これだけ聞くと、「当たり前すぎる」と思ってしまいますよね?
しかし、これがFXで最も難しい点である「数値上、過去データへの依存が見えづらい」という課題を作り出す一番の要因になっているのも事実です。
“現在の相場が過去チャートと全く一緒の挙動をする”と言うことは、FXにおいてほぼあり得ません。
理由は、トレードをしているトレーダーの感情が過去と全く一緒ということはないからです。
この理由から、本質を理解せずに相場分析やトレードを行っているトレーダーは以下のような負けパターンに陥ることが多いと言えます。
STEP1 インジケータを駆使したトレード手法をなんとか生み出す
STEP2 勝てる時もあるが、その分負ける
STEP3 さらに確度の高い手法を見つけようと試行錯誤
STEP4 手法が複雑になりすぎて、エントリータイミングがわからなくなる
STEP5 自分の手法に自信が持てなくなり、よくわからないところでトレードをして負ける
これはFX(投資)というものを完全にブラックボックス化してしまっていることが原因です。
トレードをする目的(=ゴール)は、“資産を増やすこと”ですが、この目的を達成するためには、投資という分野で稼ぐスキルを身につける必要があります。
では、「上記STEPで示した勝てるトレード手法を見つける」という作業は、投資で稼ぐスキルの1つですが、これだけでは稼ぐスキルになりません。
加えて、手法を見つける、ないし磨くという作業は、上級者が行うことです。
したがって、上記目的を達成するために、まず初めに取り組むべきはFXという分野を理解する、すなわち相場の本質を知ることと言えます。
心理を考慮した相場分析の基礎
本質を捉えて相場を分析する上で、最もわかりやすのは“レンジ相場”です。
このチャートに示すような相場では、売買の多数決がなかなか決まらず、レジスタンスラインとサポートラインから成る一定の値幅間で値動きをします。
レジサポラインを用いた相場分析
このチャートをもとに“相場の本質”を考慮した相場分析をしてみましょう。
このような相場でレジサポラインを用いると、以下の3つのパターンを想定することができます。
ここで、これらのパターンとトレーダーの心理を合わせて分析してみます。
(1)逆張りを狙いたいトレーダー ⇨ 多数の場合、レンジ相場継続
心理:レジサポラインでエントリー・決済をしたいからレンジ相場は絶好の相場状況
(2)順張りを狙いたいトレーダー ⇨ 多数の場合、レンジブレイク
心理:レンジから抜け出したタイミングでエントリーしたいからレンジ相場では待機
これら2パターンのトレーダーの多数決により、相場の状況が決まります。
そして、ここまでの分析はたった2本の水平線により行うことができていることにお気づきでしょうか?
このように相場にラインを引いて相場分析、トレードをしていくのがライントレードです。
本質を捉えるだけで、今まで複雑になっていた相場分析を簡単化でき、この後のトレード方針に高い根拠を持つことができるというのが、このトレード最大のメリットになります。
(a) レンジ相場継続
(b) レンジブレイク:下降
(c) レンジブレイク:上昇
レジサポラインをトレード方針
続いては、レジサポラインに基づく順張りトレードの方針について紹介します。
レンジ相場が継続した場合の逆張り手法については、ここで紹介せずともトレーダーの皆さんは理解されている方が多いと思いますので、今回は省略します。
まずはレンジブレイクが起こった際、相場がどのような状況になるのか考えてみましょう。
順張りのトレーダーが多数となった場合、レンジブレイクが発生しますが、そのまま下降することはほとんどありません。
理由は、逆張りトレーダーの損切りラインが存在するからです。
(a)のチャートに示すように、「多くの逆張りトレーダーが直近の安値に設定していた相場状況」について考えていきます。
また、順張りでショートを狙うトレーダーの多数決が確実に決まらないと、少しレンジをブレイクしただけで再度上昇してしまう、いわゆる騙しが発生します。
続いての相場状況として、
(b)「チャートに示すように確実にレンジブレイクが起こった際の相場状況」について考えていきます。
逆張りトレーダーの損切りによる上昇の後、順張りのトレーダーが多数となった際には(b)チャートに示すように、サポートラインを基準に下落していることが確認できます(③参照)。
さらにこの後、③地点で順張りしたトレーダーたちの利確分による上昇後(④参照)、再度、サポートラインを基準にして、③の際より大きく下落が起きています。
この相場の動きから、以下の2点に改めて気づくことができます。
(1) 相場がトレーダーの多数決で動いている
(2) チャートの形状からトレーダーの考えを予測できる
(a) レンジブレイク直後の相場解説
(b) 確実にレンジブレイクした後の相場解説
特に(b)チャートに示すように、レンジ相場におけるサポートラインは、レンジブレイク後にはレジスタンスラインに転換しており、順張りトレーダーが意識するラインとなっていることが、上記2点を裏付ける根拠となります。
ラインを使ったトレードは奥が深く難しいですが、このトレードを自分のものにできた際には、今までのインジケータを用いたトレード手法の確度が非常に高くなると思います。
まずは本質を捉えて上で、改めて相場を見直してみましょう。
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◆本稿は筆者の個人的見解に基づき、執筆されたものです。あくまでも個人ユーザー向けのコラムとして提供された参考記事であり、FXTFの見解、分析ではございません。