ベイルインを受け入れたくないイタリア
今週のポンド売り戦略は戻り売りと推奨させて頂きました。
本日の東京時間はポンド中心にクロス円が急落しております。
昨日の夕方に流れたイタリア国内の銀行の多くが資本が足らないというニュースです。
モンテ・パスキ銀行という、世界最古の銀行に資本不足に陥っており、不良債権処理が遅れている模様です。
再び新たなリスクオフの流れがやってきました。
今日はこのことについて少しお話をしてみましょう。
欧州は八方塞がり!
英国EU離脱の次はイタリアでした。
イタリアの大銀行、ウニ・クレジット銀行・ポポローゼ銀行・モンテ・パスキ銀行などが資本不足に陥り、資本注入が必須な財務状況になってきました。
2016年から、EUでは「ベイル・イン」制度というのが始まっており、もしその銀行が破綻しそうな場合、顧客側の立場である10万ユーロ以上の預金者、株主、債権者が破綻しそうな銀行を強制的に助けなければいけないようなルールです。
よって、彼らの資本の一部をその銀行が破綻にならないように救済をする仕組みが、「ベイル・イン」制度なのです。
逆にそれまではどうしていたかというと、「ベイル・アウト」という、EUの公的資金を使って、EU加盟国で集めた資金を国や一国の企業を助けるために使われてきました。
ギリシャ問題のときはベイル・アウトがよく適用されておりましたよね。
おそらく、もう埒があかないとのことで、この制度が出来たのではないでしょうか。
よって、ベイル・インをされる側の投資家にとっては溜ったものじゃありません。
銀行預金は引き出すわ、株や債券は売り払うわでこれらの銀行の株価も下落し続けておりました。
そして資本も逃げていったため、余計に苦しい立場となっている模様です。
モンテ・パスキ銀行が最初の犠牲者か?
もうすでにご存じの方は多いでしょう。
ロイターやブルームバーグの見出しにこの名前が躍っていたかと思います。
世界最古で550年ほどの歴史がある、モンテ・パスキ銀行が不良債権処理に間に合わず、資本注入を懇願しているそうです。
イタリア政府がこの銀行を助けるには公的資金の注入になりますが、これはベイル・イン制度に抵触します。
ならば、表向き民間企業である政府系の金融機関などがこれらを救済すれば良いのですが、その救済をできる金額すら残っていないとのことです。
よって、イタリアのレンツィ首相は早速EUに特別扱いで申し出を昨日したそうです。
ですが、即刻却下され、昨日から本日に至り、世界的にリスクオフ相場になっている模様です。
イタリア政府としても、ベイルインを受け入れますと、民間の方々にもちろん迷惑被りますし、10月には憲法改正の選挙を控えているようです。
これでは、マイナスイメージしかございません。EUの言いなりになりやがって!っと、民間に債務を負わせる政府など、支持するわけはありませんよね?
まさに八方塞がりの状態がイタリアの金融機関の現状なのです。
そして、イタリアの4大銀行がこのような状態に近い層で、イタリア国内だけでも不良債権の金額が2000億ユーロと大変巨大な金額に膨れ上がっているとのことです。
これがおそらく、火種となるのは間違いないかな、と個人的には考えております。
ここで1社助けてしまいますと、次から次へと懇願してくる企業が続出します。これもネックなのでしょう。
リセッションは避けられないのか?
やはり、景気サイクルというのは歴史上、似たような循環でやってくるものなのでしょうか?
今後おそらく大きなクラッシュ相場が待ち受けているのだと思います。
ドル円やユーロ円、ポンド円はリーマンショック後の価格帯に戻っていきそうです。
正直、埒があかないぐらいなところまで壊滅するのではないでしょうか。
ポンド円やポンドドルは追加をしてポジショションはホールドをしております。
ユーロ売りも良いでしょう。
ボラテリティが急激に高いので注意が必要ですが、少額のリスクオフポジションだけはしっかりと持ってトレードなさることをおすすめします。
それは絶対に利食いしない、というぐらいの気持ちで1000pipsぐらいの値幅を狙ってみても良いかもしれません。
ユーロ円は100円、ポンド円は110~120円ぐらいで僕はみております。
◆本稿は筆者の個人的見解に基づき、執筆されたものです。あくまでも個人ユーザー向けのコラムとして提供された参考記事であり、FXTFの見解、分析ではございません。