もっと面白いと思うテクニカル指標はアルーン
前回は、シャンデ博士が開発したストキャスティックRSIについてでしたが、シャンデ博士が開発した指標には興味深いものが多く、個人的に「もっとも面白いと思うテクニカル指標はアルーン」です。シャンデ博士と言えばアルーンというくらい有名な指標でもありますので、今回はアルーンを紹介しておこうと思います。
少しだけシャンデ博士について補足しておきますと、国内ではパンローリングから翻訳本として、「売買システム入門」という本が出ています。同書は20年前に出版された本ですが、システム売買を開発する人にとってはバイブルのひとつとして長年に渡って読まれてきた本です。MT4でEAを利用する方もシステム売買の考え方を知る意味で一度は読んでおきたい本であると思います。
アルーン
アルーン(Aroon)の意味はサンスクリット語で曙ですが、中身はRCIとは異なった概念を持つ順位相関係数です。2本の線で構成され、ひとつはアルーン・アップ(Aroon Up)、もうひとつはアルーン・ダウン(Aroon Down)で以下の計算式で示されます。通常14期間を用いることが多いため、14日として説明します。
アルーン・アップ=(14-過去14日間の最高値からの日数)/ 14×100
アルーン・ダウン=(14-過去14日間の最高値からの日数)/ 14×100
例えば7日前が最高値であれば、(14-7)/ 14×100=50とちょうど中央値となります。
ネット上で ”Aroon mq4” とか ”Aroon MT4” といったキーワードで検索すれば、すぐにMT4用のテクニカル指標が見つかると思いますので、まずはアルーンを使えるようにしてください。同様にアルーン・オシレータ(Aroon Oscillator)という指標もありますので、同様に検索してダウンロードしておいてください。こちらは後で説明します。
アルーンのチャートと見方
サブチャートに示されている2つのラインがアルーンです。いったいどう見ればいいのか、と最初は戸惑うと思いますが、トレンドにももみあいにもどちらの判断も可能な優れた敵に勝る指標です。3つのパターンがありますので、順に説明していきます。
(1)エクストリーム
エクストリームというのはトレンドのスタートと継続を判断するアルーンで最も使い勝手のよい見方です。
上昇トレンド
アルーン・アップ(緑)が100になった時点が上昇トレンドのスタートを示し、その後、継続的に70以上で推移している場合が上昇トレンドの継続と判断します。
下降トレンド
アルーン・ダウン(赤)が100になった時点が下降トレンドのスタートを示し、その後、継続的に70以上で推移している場合が下降トレンドの継続と判断します。
強いトレンドの発生
アルーン・アップが継続的に70以上、かつアルーン・ダウンが継続的に30以下の場合は強い上昇トレンドを示し、アルーン・ダウンが継続的に70以上、かつアルーン・アップが継続的に30以下の場合は強い下降トレンドを示します。
例:下降トレンドの典型的な例は、上のチャートの黄色のラインマーカーで示した部分です。アルーン・ダウンが100に到達し、その後は継続的に70以上、さらに途中からアルーン・アップが継続的に30以下となっていて、強い下降トレンドを継続中であることがわかります。矢印でそれぞれのタイミングを示していますので確認してください。
(2)クロス
クロスはアルーン・ダウンがアルーン・アップを下から上にクロスした場合に下降トレンド発生の可能性を示唆し、アルーン・アップがアルーン・ダウンを下から上にクロスした場合に上昇トレンド発生の可能性を示唆します、
例:下降トレンド発生の示唆を、青い矢印で示してあります。今回の下降トレンド発生は強かったため、クロスと同時にアルーン・ダウンが100に到達したことがわかります。
(3)パラレル
アルーン・アップとアルーン・ダウンの両ラインが平行に動いている状態のことでもみあいを示します。エクストリームかクロスが現れるまではトレンドが無いと考えると良いでしょう。
例:チャートの左の方でグレーアウトさせた期間がパラレルの例と言えます。
アルーン・オシレータ
アルーン・オシレータは、アルーン・アップからアルーン・ダウンを引いた値で求められます。売買のタイミングをすぐに見ることが出来る簡易版のアルーンといった押さえでいれば良いと思います。より細かく判断するには上の3パターンを見た方がいいのですが、パッと見てわかるという点では、オシレータの使い勝手はよいです。
また、今回使うオシレータは親切で、エクストリームの部分にヒストグラムで着色されています。このようなオシレータであれば単体で使うのも十分ありだと個人的には思います。
サブチャートの上段がアルーン、下段がオシレータです。オシレータ単体の見方としては中央の0ラインを中心に、+が上昇トレンド、-が下降トレンドです。また数値が大きいほどトレンドが強いと言えます。
上の例ではシンプルに青が上昇トレンド、赤が下降トレンド、グレーがもみあい、という割り切った見方をすることが可能です。おそらく、ほとんどの方にはこのオシレータのみで必要十分であると思います。
◆本稿は筆者の個人的見解に基づき、執筆されたものです。あくまでも個人ユーザー向けのコラムとして提供された参考記事であり、FXTFの見解、分析ではございません。また、FXTFでは「ライブラリ」機能のサポートは行っておりませんので予めご了承下さい。ご利用の際はご自身の判断でお願いいたします。