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ビル・ウィリアムスの指標【第二弾】

以前のブログではMT4標準装備のインディケータのうち、特別扱いされているビル・ウィリアムスのテクニカル指標から「フラクタル」と「アリゲーター」を取り上げました。ビル・ウィリアムスの指標ではオシレータ系の指標も多く、今回は3つのオシレータについて簡単に見方を解説しておきたいと思います。

今回は全てドル円日足チャートを例に同じチャートを見ながら3つのオシレータの状態を比較してみましょう。

ゲーター・オシレータ(Gator Oscillator)

まず、「ゲーター・オシレータ」ですが、このオシレータはアリゲーターで表示される3本の移動平均線の収束と拡大を見やすくした上で、方向性を示すオシレータとなっています。

このオシレータは、アリゲーターで使われる3本の移動平均線を(長期-中期)と(長期-短期)の2つの要素に分け、その値幅をゼロラインを中心として2つのヒストグラムで表示しています。この2つのヒストグラムはどちらも緑が上昇トレンド、赤が下降トレンドを表していますが、上側は長期トレンド、下側を短期トレンドとしています。

上側が緑の間は上昇トレンド、その間に下側に赤が混ざるとトレンド変化の兆しといった見方でよいのですが、不思議なことのこのゲーター・オシレータはビル・ウィリアムスの著書では初版、改訂版ともにチャートが1枚あるだけで解説がなされていません。おそらく、アリゲーターそのものを見れば十分と考えていた節があり、著書内では以下に紹介する2つのオシレータのほうがよく使われています。

オーサム・オシレータ(Awesome Oscillator)

この「オーサム・オシレータ」はMACDのバリエーションと考えてよいです。アリゲータ同様に計算のベースが終値ではなく、高値と安値の中間値であるミッド・レートを使っている単純移動平均線を使っていること、期間が5期間と34期間の差であることが違いと言えます。

このオシレータはヒストグラムとして表示されていますが、上記の通りMACDラインと同等です。見方もゼロラインのクロスをもって上抜けが買い、下抜けが売りと似た考え方です。しかし、もうひとつ重要なポイントがあります。ラインの傾きの変化です。ラインの傾きが変化すると色が変化していることが見て取れます。

この色の変化によるトレンドの変化のほうが私自身としてはよっぽど重要と思います。つまり、ラインが下降から上昇に転じたら緑となって上昇トレンド、上昇から下降に転じたら赤となって下降トレンドを示しているという見方をします。この「傾きの変化」はテクニカル指標の分析において非常に重要な考え方で、随分と前になりますが、商品先物でこの傾きの変化だけで勝ち続けていた時期がありました。

傾きの変化は平均線のクロスやゼロラインのクロスといった要素よりも、より敏感に反応しトレンド変化の初動を捉えることができると考えてください。

アクセラレーター・オシレータ(Accelerator Oscillator)

この「アクセラレーター・オシレータ」は、先ほどのオーサム・オシレータから5期間ミッド・レート単純移動平均線を引くことで求められます。イメージとしてはMACDを2回繰り返して求める指標といえます。前回、移動平均の移動平均といった考え方を書きましたが、ここではやや複雑にMACD(移動平均の差)のMACDという使い方です。

読み方はオリジナルは以下の通りです。
・ゼロラインより下側で緑のラインが2本続いたら次の足で買い
・ゼロラインより上側で赤のラインが2本続いたら次の足で売り

ここでも色自体の変化は「傾きの変化」です。傾くの変化が出てさらにもう1本様子を見るというのが、このオシレータの考え方です。傾きの変化だけではダマシになることがあるので、若干遅れてもダマシを減らす方を採用したと言えるでしょう。

今回も重要な考え方がいくつか出てきました。その中でも最重要なのが「傾きの変化」、そしてダマシを減らすための「2本連続」です。これらの考え方は他のテクニカル指標にも応用できますので、他の指標でも是非お試しいただきたいと思います。

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