MT4におけるMTF指標の仕組み【第一弾】
今回は初級者向けテーマとしてMTF指標を扱いましょう。
MTFの概念
MTFとはMultiple Time Frameの頭文字で複数時間枠(複数時間軸)と訳されます。複数時間枠という言葉通り、ひとつのチャート上に複数の時間のチャートを表示する考え方ですが、MTFは計算の中に複数の時間を取り込むテクニカル指標(代表的な指標にKSTといった、9, 12, 18, 24期間のROCを組み込んだ指標がある)と、指標自体は通常指標を別の時間のチャートに表示するテクニカル指標とに大別されます。
MT4におけるMTF指標というのは後者の指標を指し、もともとはロバート・クラウス氏が提唱した分析手法です。ロバート・クラウス氏は『新マーケットの魔術師』にも登場する著名トレーダーですが、テクニカル分析ツールの開発にも力を注ぎ世界で最初に現在のMTFの考え方を確立させました。
MTF最大のメリットは通常取引に使用するチャート(Own Periodと呼びます。表示チャートの期間)の上に、より上位の時間枠(Next Period, Highest Periodと呼びます。次、そして最上位のチャートの期間)のテクニカル指標を表示することで、何枚ものチャートを広げる必要がありません。
なぜMTF系指標が必要となるのかについて簡単に補足しておくと、たとえば1時間足チャートにおける5日移動平均線と120時間移動平均線は似て非なるものであり、パラメータの異なる単一時間枠で複数時間枠の代替は出来ないためです。
MT4におけるMTFの考え方
MT4ではチャートデータとして最小の時間が1分足ですから、1分足をプログラム的に加工すれば何分足のチャートでも出すことが可能です。オフラインチャートを使ってMT4に無い時間のチャートを表示する方法は前に説明した通りです。
「スクリプト・PeriodConverter」2018年1月23日付ブログ
MTF指標でも同様に分で時間を表し、以下のようなパラメータを指定することで上位時間枠のテクニカル指標を表示することが出来るようになります。
H1=60
H4=240
D1=1440
W1=10080
MN=43200
W1が5日でなく7日だとか、月足は月によって日数が違うといった細かいことは考えず、MT4のMTF系指標では上記のようなパラメータを使うと覚えておいてください。
ここでは例としてMTFMA(MTF系移動平均線)を使ってみます。MTF系指標はこの五動意平均線をはじめ、ほとんどの主要なテクニカル指標のものがありますので、ネットで”MTF”と”指標名”で検索すれば該当するカスタム指標を見つけることができるでしょう。
それではダウンロードしたMTFMAをH1チャートの上にドラッグ&ドロップです。するとプロパティの画面が開きます。
一番上のTimeFrameに先ほどの分数パラメータを入れます。ここでは1440として日足の移動平均線を出します。次のMAPeriodは5となっていますが、これは5日移動平均線の意味です。ma_shiftは標準の移動平均同様に何期間シフトするかの設定ですね。
わかりにくいのが、そのあとの2つですがMT4の移動平均線では内部的に以下のような数字で示されていますので、その数字をそのまま入れてあげます。
ma_method
0 = 単純移動平均
1 = 指数平滑平均(2 = スムース)
3 = 加重移動平均
applied_price
0 = 終値、1 = 始値、2 = 高値、3= 安値
4 = Mid、5= ピボット、6 = (HLCC)/4
上の例では0, 0ですから終値の単純移動平均となります。色は青で表示してみます。以下のようなチャートとなるはずです。
1H足のチャート上に日足の5日移動平均線が表示されました。 MTFでは他にも多くのMTF系カスタム指標がありますので、是非試してみてください。
◆本稿は筆者の個人的見解に基づき、執筆されたものです。あくまでも個人ユーザー向けのコラムとして提供された参考記事であり、FXTFの見解、分析ではございません。