チャート機能を使い倒すコツ③
9月3日にFXTF協賛の一大イベント「FXトレーダーフェスタ」(こちらも頭文字がFXTF!)が秋葉原UDXで開催されました。私も講師の一人として、MT4の魅力をお伝えしましたが、内容はこちらのブログでも適宜書いている「チャート機能を使い倒すコツ」に関連するものでした。参加された方は申込サイトから当日の資料がダウンロードできるようになっています。
テーマの後半は以前、当ブログで扱ったフィボナッチ・リトレースメントとフィボナッチ・エクスパンションにレートを表示する方法をお伝えしたのですが、今回のブログでは前半で扱ったテーマの一部を紹介しつつ、さらに発展した使い方まで進めることとしましょう。
テクニカル指標のパラメータ
MT4では一般的なチャートツールに比べると、テクニカル指標のパラメータをかなり変更することが可能です。一例として移動平均線のプロパティをご覧ください。
上のパラメータでは、5期間の終値単純移動平均線を青色で表示しているケースですが、期間とスタイル(線の色、線種、太さ)は見てわかりますが、他の部分は多少説明が必要だと思います。
上から見て行くと「表示移動」は、一目均衡表の先行スパンや遅行スパンのように表示位置を先行、遅行する期間を指定します。通常は「0」です。次に「移動平均の種別」は、プルダウンメニューを開くと4つの種類が選択できるようになっています。
「Simple」=「単純移動平均」
「Exponential」=「指数平滑移動平均」
「Smoothed」=「係数を変えた指数平滑移動平均」
「Linear Weighted」=「加重移動平均」
通常は「Simple」、「Exponential」、「Linear Weighted」の3つを使い、特殊な用途のみ「Smoothed」も使うといった感じでしょうか。個人的には係数が違うだけなので、積極的に利用する理由はあまり無いと感じています。
パラメータの中でもっとも注目すべきは「適用価格」です。このプルダウンメニューを開くと以下のような価格を選ぶことができます。
「Close」は一般的に利用される「終値」ですが、他にも4本値として「Open」=「始値」、「High」=「高値」、「Low」=「安値」をすべて利用可能ですし、加工した価格として「Median」=「中値」、「Typical」=「ピボットレート」、「Weighted」=「終値にウェイトを置いたピボットレート」を利用することが可能です。
さらに「Previous Indicator’s Data」というのは直前に表示したテクニカル指標の値を使い、「First Indicator’s Data」というのは最初に表示したテクニカ利指標の値を使います。両者をうまく使うことでかなり面白い移動平均を出すことが可能ですが、通常は直前に表示したテクニカル指標の値だけで十分です。
「Close」=「終値」
「Open」=「始値」
「High」=「高値」
「Low」=「安値」
「Median」=「中値」
「Typical」=「ピボットレート」
「Weighted」=「終値にウェイトを置いたピボットレート」
「Previous Indicator’s Data」=「直前に表示したテクニカル指標の値」
「First Indicator’s Data」=「最初に表示したテクニカ利指標の値」
今回はセミナーでも紹介した「始値」の利用と、当ブログの読者の皆さん向けに「Previous Indicator’s Data」の利用について紹介することとします。
始値移動平均線の意義
まずは、以下のチャートをご覧ください。
このチャートはEURUSD日足に5日単純終値移動平均線(青)と5日単純始値移動平均線(赤)を表示したものです。2本の移動平均線というと、短期と長期の2本の組み合わせが一般的ですが、ここでは同種同期間の移動平均線をひとつは終値、もうひとつは始値で計算させています。
見方は単純で終値移動平均線(青)が短期線の役目、始値移動平均線(赤)が長期線の役目を担っていて、それぞれのゴールデンクロス、デッドクロスと移動平均線の位置関係でトレンドの変化と継続を見ます。一般的な見方と同じですね。
これはローソク足で、5連続陽線とか5連続陰線をイメージしていただくとわかりやすいと思いますが、陽線が続く場合は、終値移動平均線(青)>始値移動平均線(赤)【青が上】となりますし、陰線が続く場合は終値移動平均線(青)<始値移動平均線(赤)【赤が上】となります。ローソク足では陽線と陰線がミックスして出てきますが、このように移動平均で均してあげることで見やすくなります。
この線はそもそも平均足の陰陽を移動平均線で代用することから始めたものです。平均足はトレンドの変化と継続は見やすいものの、ローソク足自体の形が変化し更にはレンジが実際のレンジとして表示されないというデメリットがあるため、通常のローソク足で判断しつつ平均足の陰陽を参考にしたいといった場合に代用以上の使い勝手を提供してくれます。是非お試しいただければと思います。
Previous Indicator’s Dataの利用
次にPrevious Indicator’s Dataを使ってみましょう。
先ほどのチャートに3期間RSIを表示してみます。そしてその3期間RSIの上にナビゲーターウィンドウからMoving Averageをドラッグ&ドロップし、その時に適用価格を「Previous Indicator’s Data」としてみてください。期間はこちらも3期間としました。
すると以下のようなチャートが表示されるはずです。
3期間といった振れの大きなRSIに対して、3期間の移動平均を表示することで期間の長いRSIと同じようなRSIとなっていることがわかります。
最初から期間が長いRSIを使えばいいという考え方もありますが、RSIの期間とその移動平均の期間との組み合わせを考えると、通常のRSIに比べよりバリエーションに富んだテクニカル指標として表示することが可能です。
この指標の指標(Indicator of an Indicator)の代表にMACDがありますが、MACDは短期移動平均と長期移動平均の差、シグナルはその移動平均です。ストキャスティクスでもSlow%Dは%Dの移動平均と、多くのテクニカル指標において移動平均の考え方は内在されているものです。是非皆さんもオリジナルのテクニカル指標を作成してみてください。
なお、色の固定については説明したことがあると思いますが、私は短期から長期に向かって、青、赤、緑と常に同じ色の順番を使っています。色を固定することで見誤ることが無くなりますので、色の組み合わせは自由ですが習慣にすることをおすすめします。
◆本稿は筆者の個人的見解に基づき、執筆されたものです。あくまでも個人ユーザー向けのコラムとして提供された参考記事であり、FXTFの見解、分析ではございません。