EA Backtest Analyzer
今回はMT4の周辺ツールとして「EA Backtest Analyzer」を紹介します。このツールは、カナダのモラニス社が提供している「Strategy Builder Pro」に付属しているツールです。
モラニス社の製品について
モラニス社とは、EA開発に役立つMT4周辺ツールを安価に提供している会社で、主要製品はMT4用の「Strategy Builder Pro」です。同製品はストラテジのアイディアはあるけれど、MQL(MT4用プログラム言語)のハードルが高いと悩んでいる人のために作られたソフトで、アイコンを並べたり絵を描いたり(GCやDCのラインを引くような作業)することでEAを作ってしまおうというかなり意欲的なソフトです。
私自身も時間を節約してちょっとしたEAを作る時には積極的に利用しています。価格も150ドルと約1万7千円ですから、この手のソフトとしてはかなりリーズナブルな値段と言えるでしょう。唯一のネックが英語環境という点はありますが、辞書片手でもMQLのハードルに比べれば相当に低いと思います。
メインの製品である「Strategy Builder Pro」については、また別の機会に紹介できればと思いますが、今回はそのおまけとして付いてくる「EA Backtest Analyzer」を使い、EAのレポートをより細かく分析してみたいと思います。
レポートの作成
今回もEAはFXTF HiLo Activatorを使ってみます。
前回はFXTFのEAシリーズはいったん終了と書きましたが、もう1回だけ前回のEAに手を加えて見てみることにします。
ドル円4時間足で直近2年間(2015/6/27~2017/6/27)のレポートを作成します。まずは、普通にストラテジテスターでバックテストを行います。バックテストが終わったら、レポートタブを開いて右クリックすると、「レポートの保存」というメニューが現れますので、これをデスクトップにでも保存します。デフォルトのファイル名はStrategyTester.htmです。
このレポートだけでも、損益曲線、レポートの各項目、全取引内容とかなりの情報を持っていますが、この中の全取引内容を改めて「EA Backtest Analyzer」で読み込んで詳細の分析を行うことになります。
まずは、ストラテジテスターで得られる項目を以下にあげておきますが、当初の2年間(2015/5/16~2017/5/16)よりもパフォーマンスは悪化しています。
EA Backtest Analyzerで得られる情報
レポートを読み込ませると以下のような各タブに詳細分析の情報が表示されます。
左から、Tester Report=売買履歴詳細、Profit=損益曲線とドローダウンの比較(比較対象はドローダウンの以外にも選択可能)、Trades=取引全体の各種分布、Money Management=損益曲線とポジションの比較、Time=取引時間帯の分析、Monthly Perfomance=月ごとの損益一覧表、Analysis=各タブで条件を絞ったフィルターを使った後の分析、HTML Report=レポートの出力、と広範に渡った分析が行えます。
全て見る必要も無いと思いますので、いくつかの内容を見てみましょう。
Trades(取引全体の各種分析)
左側の列にはMT4のレポートにあるような項目が並んでいます。上の円グラフを見ると買いの取引の利益は47.3%と負け越しているのに対して、売りの取引の利益は58.6%と勝ち越しています。売りだけで取引を行うのもひとつの考え方であるということがわかります。
他にも各取引ごとの利益(Pips)がどのような分布を取っているのかが、中央のヒストグラムで確認することが出来ます。
Time(取引時間帯の分析)
ここでは、便宜的に1日を8時間ずつ3等分して、各8時間ごとのパフォーマンスを調べています。NY終値を起点としますので、夏時間でいうと東京午前6時~午後2時、東京午後2時~午後10時、東京午後10時~翌午前6時となりますが、おおよそアジア、欧州、NYの各市場に当たります。これらの時間は30分単位で自分の見たい時間を指定することが出来ますので、上記の時間帯が必須というわけではありません。
上の円グラフを見ると、アジアとNYのパフォーマンスが良いようです。
さらに、画面中央のプルダウンメニューを操作すると以下のように曜日ごとの収益グラフというのを見ることもできます。
驚いたことに月曜だけパフォーマンスが突出していて、月曜だけで取引をするといいのではないかと思わせるグラフです。
Analysis(各タブで条件を絞ったフィルターを使った後の分析)
ためしに、Analysisの機能を利用して月曜のみのアジアとNY時間帯のみのパフォーマンスを見てみます。
円グラフは以下のようにかなり好パフォーマンスが期待できそうな様子です。
実際に損益曲線を見ると以下のようになりました。
まとめ
今回はかなり特殊なフィルターの掛け方をしましたが、このような手法は結構使われているものです。こうしたツールをバランスよく使うことでパフォーマンスを上げながら、過度なカーブフィッティングとならない調整を加えて上げることは十分に考慮に値することがお分かりいただけたかと思います。
◆本稿は筆者の個人的見解に基づき、執筆されたものです。あくまでも個人ユーザー向けのコラムとして提供された参考記事であり、FXTFの見解、分析ではございません。